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これからどうなる【エネルギー】 天然ガス輸入の増大がますます貿易赤字を膨らませる

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天然ガス価格+貿易収支+経常収支の推移(1996~2013)

天然ガス価格+貿易収支+経常収支の推移(1996~2013)

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 東日本大震災以降、日本の貿易収支は赤字基調が続いている。財務省貿易統計によれば、直近の2013年11月の赤字額は2カ月連続で1兆円を超えた。赤字は17カ月連続で過去最長。このペースで行けば、2013年の年間赤字額は、過去最大だった前年の約7兆円を軽く上回る。

 ここまで赤字が膨らんだ要因の一つは、原発停止によってフル稼働している火力発電用の燃料、液化天然ガス(LNG)の輸入額が大幅に増えたことにある。2010年時点では約3兆4700億円だったが、11年は約4兆8000億円、12年は約6兆円、13年は10月時点までにすでに約5兆8000億円に達している。だがこれは、輸入量が増えたためだけではない。輸入単価も、震災以降は足元を見透かされるように急上昇し、史上最高値の水準で推移している。しかも円安の進行が、これに拍車をかけている。今後、たとえ輸入量が伸びないとしても、輸入額はさらに増えるおそれがある。

 一方、“シェールガス革命”に沸く米国内では、同じ天然ガスが日本の5分の1程度の単価で取引されている。だったら米国産の安価な天然ガスを輸入すればいいのでは、と考えがちだが、そこにはいくつもの障壁がある。まず米国にとって天然ガスは戦略物資であり、FTA締結国以外への輸出には慎重だ。5月にオバマ大統領が対日輸出解禁を宣言したが、量は限られるだろう。しかも、輸出が始まるのは早くても2017年以降と見られている。直近の輸入額縮減にはまったく結びつかない。

 米国内では、天然ガスはパイプラインを使って流通・供給されているが、日本に輸出するとなると液化プラントやLNGタンカーの製造など大規模な設備投資が必要になってくる。当然、コストは上乗せされ、単価は軽く2倍程度になるといわれる。さらに、昨今は米国内の単価も上昇傾向にある。以上が、米国からの輸入にさほど大きな期待は抱けない理由である。

 発電用の燃料をどこから輸入するにせよ、むしろ懸念すべきは為替の動向だ。円安が進めば輸入額は割高になる。それによって貿易赤字が膨らめば、所得黒字を上回って経常収支を赤字に転落させる。現に、10月の経常収支は1279億円の赤字、11月はさらに落ち込み、5928億円と過去最大の赤字となった。いま見直さなければならないのは、LNGに頼りきったエネルギー政策ではないか。

天然ガスの輸入価格の推移 出典:IMF Primary Commodity Prices http://www.imf.org/external/np/res/commod/index.aspx

天然ガスの輸入価格の推移 出典:IMF Primary Commodity Prices http://www.imf.org/external/np/res/commod/index.aspx

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天然ガスの価格(米国内)の推移 出典:IMF Primary Commodity Prices http://www.imf.org/external/np/res/commod/index.aspx

天然ガスの価格(米国内)の推移 出典:IMF Primary Commodity Prices http://www.imf.org/external/np/res/commod/index.aspx

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貿易収支の推移(2013年7月以降は速報値)出典:財務省HP 国際収支状況 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/index.htm

貿易収支の推移(2013年7月以降は速報値)出典:財務省HP 国際収支状況 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/index.htm

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経常収支の推移(2013年7月以降は速報値)出典:財務省HP 国際収支状況 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/index.htm

経常収支の推移(2013年7月以降は速報値)出典:財務省HP 国際収支状況 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/index.htm

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