日本の実力

武器生産が世界の下請けになる危険性あり

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日本企業が武器見本市に続々出展

オーストラリアが関心を寄せる自衛隊のそうりゅう型潜水艦(2014年10月、斎藤良太撮影)(毎日新聞社)

オーストラリアが関心を寄せる自衛隊のそうりゅう型潜水艦(2014年10月、斎藤良太撮影)(毎日新聞社)

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 政府は2014年4月1日、これまでの武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。新三原則では、(1)紛争当時国や国際条約違反国など、新たに武器輸出禁止国を定めたうえで、(2)平和貢献・国際協力の積極的な推進や日本の安全保障に資すると認められるならば、(3)目的外使用や第三国に移転しないという条件のもとで、原則として武器輸出が認められることになった。この決定は、米国などとの兵器の共同開発・生産を容易にするほか、自衛隊が国連平和維持活動(PKO)で使った重機などを、他国に提供することも可能にする。

 この新三原則を受け、同年6月、さっそく日本の防衛産業大手はフランスで開かれた世界最大級の武器見本市「ユーロサトリ」に出展した。三菱重工は新型の装輪装甲車や戦車用エンジンを、東芝やNECは民間向けに開発した気象レーダーや無線機などをパネルや模型で紹介。川崎重工や日立は、陸上自衛隊で使用されている車両や地雷探知機などを出品した。

 7月には、国家安全保障会議(NSC)が初めて米国への輸出と英国との共同研究を承認した。米国に輸出するのは地対空ミサイルPAC2の姿勢を調整する部品で、PAC2をライセンス生産している三菱重工業が製造し、米国に輸出することになった。NSCは、この部品を使ったPAC2が米国からさらに親米国であるカタールへ輸出されることも認めた。米国の適正な管理により進められる第三国移転であって、紛争に使われるリスクが低い、と評価したからである。英国とは、防衛産業大手のMBDAが仏独など5カ国と開発している長距離空対空ミサイル「ミーティア」を対象に、三菱電機の半導体技術を使って共同で精度を高める技術を研究する。

 この2件以外にも、新型潜水艦の導入を目指すオーストラリアに対して、防衛省が潜水艦に使用する特殊な鋼材や音波を吸収する素材技術の共同開発を提案しているとされる。オーストラリアが一番欲しいのは、そうりゅう型潜水艦に搭載されている、大気中の酸素を取り込むことなくエンジンを動かせるAIP(非大気依存推進)機関の技術といわれる。しかしこれは、潜水艦の隠密性を高める中核技術のため輸出は難しいのが現実だ。オーストラリア国内にも、造船業界保護のために自国での建造を求める声があることから、まずは共同開発ということになりそうである。さらにフランスとの間では、水中で使う無人機の開発などを念頭に、防衛装備品・技術の移転に関する協定を結ぶ予定だ。インドは、暴風や3メートル近い荒波の中でも着水が可能な世界最高水準の救難飛行艇US2に関心を示している。US2は厳密にいえば「武器」ではない。したがって、価格面で折り合えば比較的容易に輸出が承認されると見られている(表1参照)。

表1 「武器輸出三原則」撤廃後の動き

表1 「武器輸出三原則」撤廃後の動き

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日本は小火器の輸出大国

 「武器輸出三原則」とは、1967年に当時の佐藤栄作首相が表明した方針で、(1)共産圏諸国、(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国、(3)国際紛争の当事国またはそのおそれのある国に対しては武器輸出を認めないというものだ。

 さらに1976年、三木武夫内閣が政府統一見解として、三原則が当てはまる地域については武器の輸出を認めないことを再確認するとともに、それ以外の国へも「憲法及び外国為替及び外国貿易法(外為法)の精神にのっとり、武器の輸出を慎む」とした。ここにいたって、武器輸出三原則は法律ではないものの、実質的に武器禁輸政策となり(67年の三原則と、76年の統一見解をあわせて「武器輸出三原則等」と呼ぶ)、非核三原則と並ぶ“平和国家日本”の国是とみなされることになった。

 あまり知られていないが、日本は戦後のある時期まで武器を輸出してきた。1950年、朝鮮戦争が始まり、これに参戦する米軍に向けて弾薬などを生産した。いわゆる「朝鮮特需」の一環である。当時の財界には、兵器産業を輸出産業として振興すべきという意見もあった。その後も続けて、タイ、ビルマ、台湾、ブラジル、旧南ベトナム、インドネシアなどに銃砲や弾薬を輸出、米国にも、若干数ではあるが護身用の拳銃が輸出されていた。

 ただ、この武器輸出の原則には法的拘束力がない。そこで政府は必要に応じて適用を除外する項目を設けてきた。1983年、中曽根内閣が米政府の強い要請を受け、米国に対してのみ武器技術の供与を容認。2004年には小泉内閣が、米国とのミサイル防衛(MD)システムの共同開発を認めている。その他、対人地雷除去活動の支援や中国での遺棄化学兵器処理事業などの平和貢献を合わせると、例外措置は21件に上った。

 いっぽう、政府が「武器輸出」の範疇に入れていないものもある。小銃・拳銃など小火器の国際取引を監視しているスイスのジュネーブ高等国際・開発問題研究所が2011年に行った調査によれば、日本の狩猟用・競技用ライフルやその部品の輸出額は9700万ドルに達し、小火器の輸出額ランキングでは米ロ独などのトップ8に次ぐ主要輸出国とみなされている。2004年以降、米国がアフガニスタンに供給した小火器約47万5000点のうち20万点以上が所在不明になり、その多くが闇市場に流れていることを考えると、日本の小火器が輸出先で100%適正に管理されているという保証はない。ライセンス生産や模造品も含めると1億丁以上が生産されたという旧ソ連製のAK47、通称「カラシニコフ」が「小さな大量破壊兵器」と呼ばれるように、じつは小銃は最も多くの人命を奪ってきた兵器なのだ。

どんな国にどんな武器を輸出するのか

 日本が例外を設けて技術供与などを行っている間、兵器技術は高度化し、開発コストも高騰、その結果、戦闘機などは多国間で開発・生産するケースが主流となった。米国など9カ国が共同開発し、航空自衛隊も次期戦闘機として導入を決めている最新鋭のステルス戦闘機F35もその一例だが、日本は開発への参加を見送らざるを得なかった。旧三原則の縛りがあったからだ。

 F35の生産には三菱電機やIHIが参加しており、三菱重工も関心を抱いているが、開発段階から加わっていないだけに、技術の情報開示は限定され、単なる下請けにとどめおかれる懸念もある。また納入の順番も開発参加国より後回しにされるのは間違いなく、老朽化した現在の主力戦闘機F4の退役に間に合うかは不透明だ。

 2011年12月、民主党の野田内閣は「日本の安全保障に役立つ国際共同開発」や「平和貢献を目的とする武器輸出」を包括的に認めて原則緩和に踏み切り、2012年4月にはキャメロン英首相との間で防衛装備品の共同開発・生産を早期に開始することで合意した。続く第2次安倍内閣は、集団的自衛権の行使容認やODA(政府開発援助)の軍事利用の解禁などと並ぶ「積極的平和主義」の柱として、従来の三原則の抜本的見直しを掲げた。背景には、中国の海洋進出を念頭に、激変する安全保障環境への対応がある。

 ただ、そうはいうものの、新三原則には輸出ができる国や武器の種類は明記されていない。「我が国の安全保障に資する」かどうかは、国家安全保障会議(NSC)の審査によるとしていて、どこまで認めるかは政権の判断に委ねられているのだ。輸出禁止の対象となる「紛争当事国」も「武力攻撃が発生し、国連安全保障理事会がとっている措置の対象国」に限るのであれば、これまでも朝鮮戦争時の北朝鮮や湾岸戦争時のイラク以外に該当する国はなく、いま内戦が続くシリアでさえ、ロシアと中国が安保理での制裁決議に拒否権を行使しているため当てはまらない。

 輸出審査の手続きは三段階で、新規案件は経済産業省に加え、NSC事務局も別途行い、重要な案件については首相らの閣僚会議で決める。だが輸出した事実が発表されるのは、閣僚会議を経て輸出許可が出た案件のみで、閣僚会議を経ずに許可された案件は、相手国や件数が年次報告書でまとめて発表されるため、詳しい審査の過程は明らかにされない。

 こうした問題点について、野党のみならず公明党や自民党内から疑問の声が上がったのも事実だ。

日本の防衛産業が“ガラパゴス化”したわけ

 2014年6月、防衛省は新三原則を踏まえ、武器などを購入する際の基本方針である「防衛生産・技術基盤戦略」を決定した。それまでの基本方針は、1970年に事務次官通達として出されたもので、国内の防衛産業を育成するために、装備品の国産化を重視していた。これは他方で、顧客が自衛隊だけであることや、民生品なら外注できる試験や梱包も、武器等製造法や火薬類取締法の縛りがあって自前でこなさなければならないことから、防衛産業の体質の高コスト化を招いた。

 主要防衛装備品の契約額でみると、近年の財政事情の悪化を受け、1990年度の1兆727億円から2013年度には6268億円まで低下(安倍政権の防衛力重視により2014年度は8835億円に回復)した。装備品の価格も高性能化に比例して急騰(たとえば戦闘機では、F4EJが38億円[1977年度]だったのに対し、F15Jは122億円[1996年度]と3倍強)したため、購入数が減少し、さらに単価が上昇するという負のスパイラルに入ってしまっている。高価な装備品は少しでも長く使用しようとするため維持費がかさむ。2005年度を境に整備維持経費が新規調達額を上回り、これも購入数の減少につながった。

 加えて、海外では冷戦後に進んだ防衛産業の再編が日本では行われなかったため、縮小する装備品契約額を多くの企業が分け合うかたちになり、防衛産業各社の採算は悪化した。その結果、とりわけオンリーワンの技術で装備の生産を支えてきた中小企業が市場からの退出を余儀なくされた。小野寺五典防衛相(当時)が新戦略の決定にあたって「日本の防衛技術が“ガラパゴス化”してしまう」と述べたように、産業基盤は危機的な状況に陥っている。

 44年ぶりに刷新された基本方針では、戦闘機やミサイルなどの国際共同開発・生産への参加を推進することとし、米国だけでなく英、仏、豪州、インド、東南アジアなどの友好国との間での新たな防衛装備や技術協力関係を構築することが明記された。国際共同開発・生産によるコスト削減と「相互依存が高まることで同盟、友好関係が強くなる」ことを期待している。冒頭にあげたオーストラリアとの潜水艦の共同開発はその一例だ。

 そのほか、陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプターの開発に、川崎重工業と欧州エアバス、富士重工業と米ベル・ヘリコプターの2つの国際共同開発グループが名乗りを上げた。外国企業が参画すれば、国内開発に比べて政府の費用は4分の1程度の約200億円ですむうえ、米欧への輸出とともに、民間用も同時開発して量産効果を高めれば、陸自向けの価格は単独で開発した場合の半額、約12億円ですむ見込みだ。いっぽう、離島防衛の強化のために導入する水陸両用車は、三菱重工業と米ゼネラル・ダイナミクスが共同開発に着手した(表1参照)。

 順調な話ばかりではない。戦車の国産化を進めるトルコは次期主力戦車「アルタイ」に三菱重工の軽量・高出力エンジン技術の採用を検討し、日本との共同開発を模索したが、日本側が、完成した戦車を第三国に輸出する際の事前相談を求めたために、白紙に戻った。

熾烈な競争に晒されている世界の軍需企業

表2 武器輸出国ランキング

表2 武器輸出国ランキング

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 冷戦終結後、東西各陣営に分かれていた兵器市場が統一されたうえ、旧ソ連の一部だったウクライナなどが市場に参入(表2参照)、さらに先進国で余った兵器が放出され、性能の良い中古兵器が流通するようになった結果、世界の軍需産業は厳しい競争にさらされた。

 米国では、1993年にクリントン政権のペリー国防次官が、軍需大手20社の経営者との夕食会の席上、「この部屋にいる企業は必要数の2倍」「撤退する企業は引き留めない」と統合を迫ったという。この“最後の晩餐”の後、米国の大手は相次いで合併、さらに欧州企業も国境を越えた再編で対抗、いま世界の武器市場は、表3にみるような少数の大企業が君臨する形になっている。

 こうしたなか、武器輸出三原則と国産化方針に縛られていた日本の防衛産業は、完全に世界の潮流に乗り遅れた。最大手の三菱重工業でも防衛事業の規模は約33億ドル。欧米の大手とは格段の差がある。しかも軍需専業の多い欧米企業と異なり、会社全体の売上げに占める割合は低く、他事業の収益が落ちれば防衛事業の存続が危うくなる。

 事情は欧米の大手企業も同じだ。リーマン・ショック以後、各国とも財政の悪化を受けて軍事費を大幅に削減しているからだ。米国では2013年度から2021年度までの9年間に、国防費を4920億ドル削減することが義務づけられた。英国は2010年からの4年間で国防費を8%削減。フランス、ドイツも軍の定員を削減するなど、コストカットを行っている。

 他方で、新興国が経済成長を背景に国防予算を増やしている(世界一の武器輸入国はインド。中東や中南米、東アジアでは2013年に前年比2~6%軍事支出が増えている)のをビジネス機会ととらえた欧米各国は、武器を輸出するだけでなく、使い方を教える顧問団を派遣し、その地域の軍事情報の収集につなげるなど、官民一体の戦略的な取り組みを行っている。

 日本からインドへのU2飛行艇輸出や、東南アジアへの巡視船供与は、いうまでもなく海洋進出を続ける中国に対し、包囲網を築くのが狙いだ。従来のODA大綱では、軍に巡視船を直接供与できず、2014年にベトナムへ巡視船に転用可能な船をODAで供与した際には、いったん軍から海上警察を切り離す手続きが必要だった。だが、2015年1月に新たに制定された「開発協力大綱」では、民生・災害救助などが目的であれば軍への直接供与が可能となった。

 とはいえ、防衛省内で装備品の国際共同開発や輸出を担当しているのは数人程度にすぎず、欧米の輸出大国はもちろん、政府を挙げて輸出促進に取り組んでいる韓国にくらべても出遅れている。このため、2015年度に発足する防衛装備庁には数十人規模の担当部署が新設され、日本の兵器や技術に対する海外の需要を探るほか、日本の防衛企業がもつ有望な技術を発掘し、海外進出を働きかける予定だ。

表3 世界と日本の主な軍事企業

表3 世界と日本の主な軍事企業

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目下の試金石は英国に売り込んでいる哨戒機P1

 2014年7月、英ファンボローで開催された世界最大級の航空展示会「ファンボロー国際航空ショー」において、日本の哨戒機P1(川崎重工業製)が注目を集めた。これまで海上自衛隊の主力哨戒機だったP3Cは、川崎重工が米ロッキード・マーティンからライセンス供与を受けて生産してきたものだが、P1はオールジャパンで開発したもので、潜水艦が発するわずかな音波もキャッチするソノブイ(音響探知機)を装備、そのほか光信号を使った操縦系統システムなど、高い技術が売りの機体だ。

 日本政府は、この展示会で英国と空対空ミサイルの共同開発で合意した際、P1の輸出についてもアピールしたという。背景には、英BAEシステムズが哨戒機の開発を断念したため、西側諸国で生産できるのは日米だけになったという経緯がある。英国軍の本命は米ボーイング社製のP8とみられるが、日本が英国の要望に沿った機体を競争力のある価格で提案できれば、実戦経験はないものの日本製武器は対抗馬になり得る。

 ボーイング社のP8はすでにインドへ輸出され、オーストラリアへの供給も決まっているが、中国の海洋進出を警戒するフィリピンやベトナムがP1に関心を寄せている。「たとえ候補に上がっただけだとしても、英国が真剣に検討してくれていることに意味がある。P8と競合する機種であるということが、国際的に認知される」と日本政府関係者は話しており(ロイター電子版2015年1月7日付)、ブランディングにもなる英国への売り込みに積極的だ。

 日本の先端技術に熱い視線を寄せているのは、アジアの国だけではない。日本の民生品が、欧米諸国で軍事転用されている事例は珍しくないのだ。ソニーのビデオカメラの目ともいえるCCD素子が、湾岸戦争時に米軍の主要兵器だった空対地ミサイル「マーベリック」のシーカー(目標識別)カメラに使用されていたことはよく知られているし、1993年に米商務省が議会に提出した報告書には、巡航ミサイル「トマホーク」などに使われるセラミック容器は京セラ製という記述がある。先端技術以外でも、日本の自動車への信頼は篤く、1980年代のチャドの内戦は、政府軍と反政府勢力の双方がトヨタ製のピックアップトラックや四輪駆動車を活用していたことから“TOYOTA War”と呼ばれたほどだ。

ETCや「はやぶさ2」にも使われた兵器開発技術

 反対に、日本企業が兵器用に開発した技術を民生品に転用する例も珍しくない。三菱電機は、戦闘機用のレーダー技術を自動車の衝突防止に使われる車載用ミリ波レーダーや自動料金収受システム(ETC)に活用しているし、富士通の窒化ガリウムという半導体材料は、レーダー以外に携帯電話の基地局などに使用されている。2014年末に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」の、小惑星に爆薬でクレーターを作る「インパクタ」と呼ばれる装置は、戦車の装甲を打ち破るための榴弾に使用されている技術の応用だ。

 このような「デュアルユース(軍民両用)」技術の開発には、産・学・軍の連携が欠かせない。だが、日本のアカデミズムは軍事アレルギーが強い。たとえば東京大学大学院の情報理工学系研究科が、「一切の例外なく、軍事研究を禁止する」というガイドラインをつくっていたのがその例だ。2012年、東大で人型ロボット開発を行ってきた研究者らが東大を離れ、ベンチャー企業「シャフト」を立ち上げたのは、このルールによって予算が思うように獲得できなかったからだった。シャフトは2013年、ロボット事業に意欲を示す米グーグルに買収され、翌12月には米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)主催の災害救助ロボットコンテストの予選で、米航空宇宙局(NASA)など強豪15チームを抑えトップの成績を収めた。

 政府が新三原則を決めたことが影響したのかはわからないが、2014年末、東大はガイドラインを「軍事・平和利用の両義性を深く意識し、研究を進める」と改訂し、デュアルユース技術研究を容認した。「成果が非公開となる機密性の高い軍事研究は行わない」と歯止めをかけ、広報課も「誤解を招いたようだが、軍事研究禁止の方針はこれまでと変わらず、一部でも認めない」と説明してはいる。とはいえ、産業技術開発で日本がトップランナーであり続けるために、軍事の要素を完全に排除するのは得策ではない、という判断が働いたのは否めない。

日本市場が世界の武器産業の下請けにならないか

 防衛省も、大学や民間研究機関などと連携して軍事技術開発を進めるため、2015年度予算概算要求で約20億円を計上、基金を創設する。航空機の機体に使う新素材やレーダー技術などの研究テーマを公表して、基金から研究開発費を受けたい大学などを募集、研究成果は防衛省の装備品開発に活用されるという。

 日本製の武器は実戦で使用されたことがない。ということは、欧米各国の製品にくらべて信頼性や使い勝手の面では未知数である。これまでは国際水準に達していない武器であっても政府が買い上げて支えてきた。いい換えれば、日本の防衛産業は旧三原則と国産化方針に守られた「保護産業」だったといってよい。今後は官民挙げて、日本の強みである先端技術を活かした兵器・部品の開発を促進させないと、それこそ欧米の武器輸出大国にいわれるままに生産する下請けになりかねない。